本書は政治思想史のうちギリシャ・ローマ時代を扱う。講演を基にした口調なので読みやすい。
思想史によっては個人単位でみると、ここの部分ではプラトンとアリストテレスしか出てこないものがある。本書はそうでなく、そもそも古代のギリシャでなぜ哲学が始まり、政治思想の原型のようなものが出てきたかを解説する。ソクラテスやプラトン、アリストテレスのような有名な人物は当然詳しく説明される。
また古代ギリシャだけでなく、後のローマに続くヘレニズム時代、そしてローマ時代。このような社会になってなぜギリシャの政治思想がそのまま通じなくなったか、その社会の変化を解説する。それからローマ時代の思想潮流、ストア派、キニック派などを説明した後、キケロ、セネカ等の個別思想家へと説明は移る。
政治思想史でとりわけ重要な古典古代をこれほど分かりやすく説明しているものは少ない。真に理解している者はやさしく説明できるというが、その典型と言える。
0 件のコメント:
コメントを投稿