2023年1月23日月曜日

オーソン・ウェルズのオセロ Othello 1951

オーソン・ウェルズ監督、主演、92分、米、白黒映画。

シェイクスピアの劇の映画化、白黒の映像が美しい。映画の冒頭はオセロとデスデモーナの葬列が城壁の上を通っていく場面である。これは映画の最後でも繰り返される。
筋はおなじみの嫉妬による悲劇であり、極めて単純な構造である。悪人はイアーゴだけでその奸計にはまってオセロが破滅する。芸術作品は単純化し、極端な形にして人生を見せつける。それにしてもこの戯曲はひどい。文字で読んでいればともかく、映画にして現実化するとその馬鹿馬鹿しさは笑ってしまうほどである。
自分自身を悲劇的人物と格好をつけているが、オセロは喜劇である。主人公のオセロが簡単に嘘を信じてしまうのはなぜか。それはオセロ自身に浮気欲望があったからである。人間は誰でも自分が標準である。自分と同じように他人も考える、行動すると思い込んでいる。だからオセロは自分と同じく妻も浮気願望があると思っていた。
また一般的な話になってしまうが、人間は悪い噂、不快な噂の方を、逆のよい噂より信じてしまうのはなぜか。少なくとも文学作品ではそうなっている。作り話だけの世界で実際はそうでないだろうか。実際に悪い噂を信じてしまうのは、それが自分のことなら気になる、他人のことでも悪口と同じでそれが面白いからか。

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