2023年1月22日日曜日

渡辺努『世界インフレの謎』講談社現代新書 2022

現在世界的にインフレが高まって来ている。特に欧米はひどい。この原因は何か。すぐに思いつくウクライナ紛争ではない。ロシヤのウクライナ侵攻以前からインフレは高まってきた。原因は新型肺炎の流行によるところが大きい。

労働力は減少し、また職場に戻らなくなっている。世界の生産の分業体制が崩れ、自国に回帰していきている。これらは供給を減少させた。また消費もサービス需要は減退し、物の需要が高まった。サービスの需要は減退しても価格の硬直性が大きいので価格が低下しない。物の需要が高まり物価を押し上げた。

日本の特殊性として21世紀以降、物価も賃金も硬直で動かない。企業は値上げをすると他企業に市場を取られる恐れがあるからだ。物価が落ちついているので賃上げがなくても何とかやっていける。この状態を打破するための条件が最近の輸入物価上昇で出てきているかもしれない。

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