その具体的な話で少々気になる点がある。例えば資本主義と社会主義の比較で、現在の資本主義諸国は社会主義的政策を多く取り入れている。それで社会主義はそんなに悪くないと社会主義を擁護しているのである。社会主義を今時擁護しているなど、何か北朝鮮のような国家の是認につながる可能性がある。そもそも社会主義国家でこれまで行なわれてきた弾圧、処刑をどう考えるか説明してもらいたかった。さらにトランプ大統領時代の講演なので、トランプ大統領について言及している。あまりトランプを評価していないようである。どう意見を持とうが自由だが、若い者相手の講義で一方的に自分の意見を主張するのはどうか。
第3講でルソー、カント、ヘーゲルを取り上げ、それらの政治思想を分かりやすく語っている。ここの部分は専門だけに白眉だろう。ルソーやカントの私生活、人生も話している。そもそも思想家の人生とその思想の評価とどう関係があるのだろうか。生徒たちに後でどの思想家を評価するか聞いて、ヘーゲルが多くルソーは少ない。ルソーの人生を聞いて感心する人はあまりいないだろう。日本人はヘーゲルが好きだなどと言っているが、そんな一般的評価など生徒たちは知らない。自分の説明のせいである。
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