2021年4月30日金曜日

小沢信男『犯罪紳士録』ちくま文庫 1990

明治以降のいくつかの犯罪をまとめている。最初の3篇は古典的な有名事件である。吹上佐太郎、鬼熊こと岩淵熊次郎、坂田山心中の事件の概要である。それ以降は現代の犯罪と言ってよい。昭和40年代以降の事件を記している。女高生の監禁暴行、女による嬰児殺し、嫁の姑殺し、有名大学の兄弟同士の殺人等々。週刊誌に載せる犯罪話のような感じになる。言葉つかいも当時の流行語のような、何となく安っぽい言い方を使っており、現在では本書の価値を低くしている。

最後に犯罪紳士録、明治大正昭和と題する過去の有名な犯罪者の概要が小さい字で載っている。高橋お伝や都井睦雄から宮崎勤に至るまで有名な犯罪者の説明があり、これは役に立った。

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