2025年10月31日金曜日

月光仮面 怪獣コング 昭和34年

相野田悟監督、東映、59分、白黒映画。嵐の夜、囚人らが脱走し、科学者の博士が誘拐された。これは国際暗殺団による。同団は日本の政府首脳達を倒すつもりだった。次々と政府高官が殺される。次の標的は警視総監だった。総監が車に乗っていると、怪獣コングが現れる。怪獣というより普通の人間大で、顔つきが醜悪であるが、背広を着ている。そこに月光仮面が現れ、総監を救う。

コングは銃で撃たれても平気である。更にヘリコプターを運転し、そのヘリコプターが爆破されても死なずに再登場する。入院した総監を別の手で殺そうとする。祝探偵は国際暗殺団に変装して乗り込み、総監暗殺の手段を探ろうとしたが見つかり、以前攫われた博士と同室の檻に収監される。祝探偵と博士はそこから逃げ出す。総監の病室に探偵が行く。置いてあった花瓶の中に時限爆弾があり、寸前に止める。国際暗殺団の首領は怪獣コングに変身するが、月光仮面らの活躍で倒される。

ゴーガイルズ生きている怪獣 Gargayles 1972

B・W・L・ノートン監督、米、94分、総天然色。砂漠に考古学の博士は娘と一緒に行く。そこにいる老人からの連絡で何か興味をそそるものがあるらしい。着いてみると観光客向けのちゃちな博物館であったが、老人はゴーガイルズの骨の標本を見せる。これを見ても博士は感心しなかった。しかしその老人宅は何物かに襲われ火事になる。車で逃げる博士はその際、怪物の頭蓋骨を持って行った。車の屋根に何かが張り付いているらしい。ホテルに着くと車の屋根がギザギザに切られていた。

夜になって怪物、ゴーガイルズがホテルに襲いに来る。あの頭蓋骨を取り返しに来たらしい。気づいた博士は怪物の一匹を倒す。後になってその仲間の死体を取り返しに来たゴーガイルズに博士の娘はさらわれる。今度は博士の娘を取り戻しに警察その他が繰り出す。娘を救い出し、怪物の卵を焼き、怪物らを大空に追い払う。

2025年10月30日木曜日

大蜥蜴の怪 The giant gila monster 1959

レイ・ケロッグ監督、米、74分、白黒映画。原因不明の車の事故が多発する。しかも乗員は見つからない。地元の保安官など調べるが、不明である。これは大蜥蜴が現れ、それに押されるか、あるいは驚愕してハンドルを切り損ね、事故になったのである。

更に大蜥蜴は鉄道の橋を壊し、それによって列車を脱線転覆させる。大蜥蜴は散乱した列車に向かう。多くの人が会場に集まっていたところに、大蜥蜴は現れ、恐怖のどん底に陥れる。ニトログリセリンがあったことを思い出した男がニトロを車に積み込み、その車から飛び降りて大蜥蜴に衝突させ爆破、炎上して怪物を倒す。実写の蜥蜴をミニチュアのそばで大きく見せさせている。

地獄の逃避行 Bad lands 1973

テレンス・マリック監督、米、95分。1958年に起きたスタークウェザー事件からヒントを得て作成された映画。マーティン・シーンとシシー・スぺイシクが二人の男女を演じる。

実際の事件より犯罪を少なくし残虐な場面もない。ともかくスペイシクは好きになったシーンに付いて行くだけで、原野のようなアメリカの大地を逃げるだけの生活にうんざいしてしまう。警察が見つけると、早めにスペイシクは降参、自首する。シーンはその後も車でパトカーをまこうとするが、最後は警官に降伏する。捕まってから軍隊の施設でのシーンとスペイシクの会話などがある。

2025年10月29日水曜日

女王蜂の怒り 昭和33年

石井輝男監督、新東宝、75分、原則的に総天然色だが夜の場面は白黒になる。久保菜穂子ほか出演。港町で久保の率いる組と天知茂率いる新興組が争う。映画の冒頭は港祭りで踊り子たちが踊っている場面であるが、新興組の連中が騒ぎ出す。久保が子分を引き連れ現れる。

そこに宇津井健演じる風来坊がやってきて収める。宇津井は新興組の組長の娘、星輝美に好かれ、組のキャバレーに行く。天知の手下の菅原文太が星と踊っているところを、宇津井は星を横取りして踊りだす。宇津井は天知の前で拳銃の腕を見せ、雇われる。襲名披露で親分衆が集まっている際に、仕切る天知は久保のところに招待状を出さなかった。久保が怒って現れ、天知を衆人環視の中でなじる。

天知は久保の組がやっている荷物を夜中に強奪する。それで弁償金を払わなければならなくなった久保は金に詰まる。博打で取り戻そうとするが、逆に天知に負ける。同席していた宇津井が後に天知のいかさまを久保の組の佐々木孝丸に教える。佐々木は天知に掛け合い、いかさま黙殺と引換で弁償金を取り戻そうとするが、天知の奸計にひっかかる。久保の組は堅気になる代わりに島を天知に引き渡し、金を受け取る予定だった。だが眠り薬を飲まされ、久保は天知の毒牙にかかる。久保と天知の組は波止場で決闘となる。そこにあの宇津井が海上保安官の制服を着て現れ、天知を逮捕する。久保は堅気の社長になって港祭りで踊りを見ながらで映画は終わり。

2025年10月28日火曜日

ベーオウルフ Beowulf

副題に「中世イギリス英雄叙事詩」とあるように、英雄ベーオウルフが怪物及びその母親を退治し、後に王となるが、最後にはやはり相手方と戦い、自分も死ぬという内容。イギリスの叙事詩であるが、舞台は今のデンマークやスカンジナビア南部である。今のデンマークの地の王は毎夜、怪物グレンデルに襲われ被害を出していた。親戚のベーオウルフが救援に来て怪物を倒す。後にそのグレンデルの母親が来る。この母親もベーオウルフは倒す。ベーオウルフは王になる。ベーオウルフの従者が盗みをし、それを取り返しに来た敵と戦い、老いているベーオウルフは敵を倒すものの、自分も致命傷を負い、死ぬ。

物語の成立は8、9世紀頃らしい。後の写本も火事に会い、写本の転記も十分でなく、学者で成立期、主題等について論争が続いてきた。(岩波文庫、忍足欣四郎訳、1990年)

ウィキッド ふたりの魔女 Wicked 2024

ジョン・M・チュウ監督、米、160分、ミュージカル映画で2部作の第1部。オズの国では悪い魔女が死んだのでお祭り騒ぎである。魔女グリンダに、悪い魔女はどんなだったか聞く者がいて、過去の話に移る。

悪い魔女は緑色の赤ん坊として生まれ、両親は驚き呆れ、その後の人生も疎んじられてきた。緑色の妹は色は普通だが、脚が悪く車椅子生活である。その妹が大学に入る。入学式で後の魔女グリンダも現れ、人気者になっている。緑色は妹の世話について来ただけだが、魔法をひょんなことから使い、女学部長に見染められ、一緒に入学する。人気者のグリンダと緑色は同室になる。初めは仲が悪く、お互い嫌っていた。転校生でいかにもプレイボーイといった男学生がやってくる。グリンダと仲良くなる。緑色はその魔法故、オズの国の偉大な魔法使いから招待が来る。グリンダに学部長を通じて魔法の杖を、緑色が贈ったので、グリンダと緑色は仲良くなる。

動物の教授がいるが、大学の方針か、迫害排除される。緑色は怒る。あのプレイボーイとも緑色は仲良くなる。オズの魔法使いへ行く列車に、緑色はグリンダも乗せ一緒に連れていく。オズの魔法使いに会う。女学部長も来ていた。魔術の本を見せられ、緑色が魔法を使うと従者等が変身する。実はオズの魔法使いは魔術が使えず、それで緑色を呼んだのである。オズの魔法使いや学部長は実は動物を虐待する張本人だった。緑色は対決する。グリンダが止めようとするが、戦いになり、緑色は箒にまたがり空に去る。

2025年10月27日月曜日

丸山眞男書簡集1 1940~1973  みすず書房 2003

 政治学者の丸山眞男が書いた書簡を集めている。全5巻で、この第1集には津田左右吉あての昭和15年6月21日付け書簡から始まり、昭和48年12月16日付けの書簡まで171通を収める。

終戦までの書簡は6通。昭和21、23、24年の書簡は一通もない。丸山は昭和46年に定年まで5年を残し、東大を辞職している。書簡から学園紛争の心労が影響していると分かる。丸山は自伝を書いていないが、この書簡集は、自伝のある程度の代わりとなりうる。ドストエフスキーの書簡がそう読まれているように。

ゴーストライター The ghost writer 2010

ロマン・ポランスキー監督、仏独英、124分。自叙伝の代筆をするゴーストライターであるユアン・マクレガーは、元英首相、ピアース・ブロスナンの自伝を引き受ける。前任者は事故死していた。ブロスナンと家族等は米の島にいる。かつてテロ容疑者を米CIAに引き渡したとして、ブロスナンを非難する勢力があった。

マクレガーは前任者の死に疑問を抱き、残された前任者が書いた自伝を読み、謎を探ろうとする。自分自身も狙われるようになった。最後にブロスナンの妻がCIAの一員であったと突き止める。ブロスナンは暗殺され、それで出た自叙伝はベストセラーになった。マクレガーは出版記念会で、ブロスナンの妻に自分が調べた事実を伝える。その会から出たマクレガーは自動車にはねられ自伝の原稿はあたり一面に四散する。

2025年10月25日土曜日

天使の顔 Angel face 1953

オットー・プレミンジャー監督、米、91分、白黒映画。ジーン・シモンズ、ロバート・ミッチャム出演。ミッチャムは救急車の運転手をしていた。ある日、事故があってシモンズと会う。シモンズの父は作家で、再婚した義母をシモンズは嫌っている。シモンズはミッチャムを好きになるが、ミッチャムには恋人がいる。いかにも悪い女よろしくミッチャムを恋人から奪おうとする。ミッチャムも美人のシモンズにつれなくしない。

シモンズの口利きでミッチャムは運転手を辞め、シモンズの家で働くようになる。シモンズが義母を嫌っており、家の雰囲気が悪いのでミッチャムは辞めようとした。シモンズは引き留めようとする。またシモンズは嫌いな義母を車に仕掛けをして殺そうとした。ところが父親が同乗し、シモンズは大好きな父親まで殺してしまう。

シモンズだけでなくミッチャムに殺しの容疑がかかる。親を殺してシモンズと結婚し財産を奪おうとしたと思われた。辣腕弁護士の提案でミッチャムとシモンズは結婚させられる。そうすると陪審員の同情を買い、無罪になるだろうと。実際、判決は無罪だった。ミッチャムは釈放されてすぐにシモンズに離婚しようと言いだす。しかし元の恋人のところに戻ってももう相手はミッチャムを拒む。ミッチャムはシモンズにメキシコに行くつもりだと言う。車で送ると言い、シモンズはミッチャム諸共、両親のように車を暴走させ崖から転落する。

2025年10月21日火曜日

管賀江留郎『冤罪と人類』ハヤカワ文庫 2021

副題に「道徳感情はなぜ人を誤らせるのか」とあり、冤罪についての本なのだが669ページもある大冊である。まず最初は静岡県で昭和25年に起きた有名な冤罪事件である二俣事件で、警察内での拷問を内部告発したため、干されたではすまない扱いを受け、その家族まで辛酸な目に会わされた山崎刑事の記述から始まる。次いで戦後に多くの冤罪を引き起こした有名な紅林麻雄刑事について書いてある。

そもそも紅林刑事が有名になった、真珠湾攻撃前後に静岡県で起きた連続殺人事件、いわゆる浜松事件に関して何か著書はないかと捜してこの本を知ったのだが、もちろん浜松事件についての記述もあるが、それに留まらない、膨大な論考がある。この事件に関わった警察庁の吉川澄一技師は日本で最初にプロファイリングを行なった先駆者であり、非常に優秀であったとある。更に浜松事件で有名になった紅林刑事の名声には当時の司法省と内務省の確執があったからと当時の官庁の事情が延々とある。

戦後になってから警察が、国家警察と自治体警察と二重になり、その実態について書いている。内務省の解体問題や、戦前から戦後の憲法改正に関わった政治家であり、冤罪事件の弁護士も務めた清瀬一郎について長々と書かれている。また法医学で権威であり、今では多くの冤罪を引き起こしたと記憶されている古畑種基教授、裁判官の実際などを述べ、460ページも経ってから再び山崎刑事や紅林刑事の記述に戻る。その後は冤罪がなぜ起こるかの論考である。ここで副題にある道徳感情(アダム・スミス)や精神病質について議論してある。ともかくあまりに議論の話題の幅が大きく、読み通すのは非常に疲れる。

2025年10月20日月曜日

丸山眞男書簡集2 1974-1979 みすず書房 2004

本集の中では1975年11月6日の小尾俊人(みすず書房創業者)あての書簡が有名だろう。丸山はプリンストンの高等研究所に1975年10月から明くる年まで滞在した。そのプリンストン滞在時に、知り合い、世話になった志村五郎教授(プリンストン大学数学科)を評している文がある。そこには次の様に書かれている。

プリンストンの数学者は日本人が多く、「・・・志村[五郎]教授はプリンストンの看板教授です。(中略)先日も志村教授のカクテル・パーティに招かれて(中略)志村教授とダべりましたが、非常に趣味と関心が広い反面、自信過剰で、政治=社会問題について平気でピントの狂ったことをいい、「第一級の専門家でも、一たび専門以外のことを発信する場合は一言も信用してはいけない」というレーニンの言葉を思い出しました。(以下略)(本書p.62~63)

ここを読んで怒り心頭に発した志村がその著『鳥のように』(2015)で、丸山の無知蒙昧ぶりを嘲り攻撃している。もっとも丸山は志村宛の書簡を書いており、1976年6月18日付けではバークレイに移った後にプリンストンで世話になったお礼とバークレイの様子を伝えている。更に帰国後、1977年7月27日付けでは、信州に来ていたらしい志村宛ての書簡で、音楽関係と贈答品の謝礼と話題、招待されていたらしい信州行きについて触れている。

蜂女の恐怖 The wasp women 1959

ロジャー・コーマン監督、米、73分、白黒映画。蜂を集めて研究している学者は勤務していた会社から解雇される。女社長率いる化粧品会社は最近業績が低下している。あの学者が社長に面会を求める。学者の開発した女王蜂からとれるローヤルゼリーを使えば若返りが出来ると。動物で効果を見た社長は学者に研究室を与えて研究させる。

希望により、社長自身に薬を注射して人体実験を始める。なかなか効果が現れない。会社の幹部たちは学者を胡散臭く思っている。ある日外出した学者は交通事故に会う。社長らは病院で学者をようやく見つける。社長は体の不調を感じていた。学者がいなくなったので、社長は自ら薬を注射する。目覚めた学者は知らせるべきことがあるが思い出せないと言う。その間、会社では幹部や警備員が行方不明になっていた。

思い出した学者は、社長が狂暴化すると言いだす。社長の元に行っていた秘書は社長が怪物に変身したので逃げ回る。他の社員と学者が助けに行く。蜂の怪物となった社長と社員の格闘。最後は椅子で押された怪物化した社長は窓から落ちて死ぬ。秘書は無事だった。

2025年10月17日金曜日

マルケータ・ラザロヴァー Marketa Lazarova 1967

フランチシエク・ヴラーミル監督、チェコスロヴァキア、166分、白黒映画。13世紀のボヘミアを舞台にし、王と地域の部族、部族間の争い、キリスト教を巡る話などがあり、初見では筋が掴めない。

映画の題は出てくる若い女の名で、敵方の若い男に攫われ、妊娠する。昔の東欧の冬の幻想的な映像だけでも見る価値はあるかもしれないが、内容については勉強しないと分からない映画。

2025年10月16日木曜日

カメラを止めるな! 平成29年

上田慎一郎監督、96分。ホラー映画で、後半はその映画をどうして作ったかのメイキングとなっている。映画はゾンビ映画を撮影しているところから始まる。途中で本物のゾンビが出てくる。ゾンビと出演者たちの戦い、あるいはゾンビからの逃走になる。監督はカメラを止めるなと言い、その状況を撮影していく。最後はゾンビになってしまった者とならなかった者の戦いとなり、勝ち残る者を映して終わり。

と思ったら、実はここからが本筋で、今まで映してきたゾンビ映画をどのようにして撮影したか、つまりメイキングを映す映画なのである。恐ろしくつまらない。ゾンビ映画部分は大した事なかったが、ゾンビ物なんてあんなものだろう。それをどうやって撮影したかなど、輪をかけてつまらない出来になっている。非常に評判がいい、フランスで再映画化したとかそんな前評判を聞いて見ると、その落差が大きいので、生まれてから最低最悪の映画としか思えない。

評判がいいのはなぜかといえば、これは楽屋物で、映画撮影それ自体を映画にしているので、映画関係者は喜ぶからである。これほどつまらない映画といえば、かすかに「ブレアウィッチ・プロジェクト」という評判だけで盛り上がっていて、中身は何もなしの映画を思い出すくらいである。

2025年10月13日月曜日

殺人者 The killers 1946

シオドマク監督、米、103分、白黒映画。エヴァ・ガードナー、バート・ランカスター出演。田舎町のガソリンスタンドで働いているランカスターはいつも行く食堂に、その日は行かなかった。殺し屋二人がそこに来てランカスターを待っていた。それを知らせにランカスターの同僚はランカスターに知らせるが、ランカスターはどうでもいいといった態度だった。後に殺し屋が来てランカスターを殺す。

ランカスターは自分が死んだ場合の保険金を昔いた下宿屋の世話係に払うよう指示していた。保険員がその下宿屋に行き、昔のランカスターについて調べる。係りはランカスターが自殺しそうだったと答える。女に逃げられたかららしい。映画は昔に戻る。ランカスターは酒場でエヴァ・ガードナーに会い、一目ぼれする。後にガードナーが盗品を身に着けていて、刑事(ランカスターの幼馴染)に逮捕されそうになると、自分が盗んだと嘘をつき、刑務所に入る。

ランカスターが刑務所から出てくると給料を強奪する計画が持ち上がっていた。その会合の場で、ランカスターは久しぶりにガードナーに会う。盗んだ金をランカスター抜きで山分けしようとしていたら、ランカスターが現れ、金を攫って行く。ランカスターはガードナーに教えられ、自分抜きで山分けが行われると知ったのである。しかしガードナーは金を持ち逃げする。下宿屋でランカスターが女に逃げられたと絶望していたのはその時である。数年経ってランカスターの居所を突き止めた泥棒が殺し屋を送って殺させたのである。

金はどこにあるのか。ガードナーが持っているはずである。実は泥棒を計画した首謀者とガードナーは夫婦で、それでランカスターが持ち逃げしたようにし、真相が分かるといけないので、他の仲間やランカスターを殺してきた。首謀者は虫の息で警察に告白するが、ガードナーを無実と言わずに死んでしまったので、ガードナーは逮捕される。

2025年10月12日日曜日

カビリア Cabiria 1914

ジョヴァンニ・パストロ-ネ監督、伊、無声映画、123分。古代ローマとカルタゴの戦争を背景とした映画。カビリアは娘の名であるが、主人公ではない。攫われたので、救助に行く者たちが主で、カビリア自身はあまり画面に出てこない。

カビリアが幼い日、火山の噴火で町は打撃を受ける。カビリアの屋敷も倒壊し、親たちはカビリアが死んだと思っていた。実は乳母と逃げられたが、海賊につかまりカルタゴに売られていく。ローマの軍人とその大男の従者がカルタゴに潜入していた。乳母はたまたま会ったその二人にカビリアの救出を頼む。二人は生贄にされそうになっていたカビリアを助けるが、相手方は追ってくる。軍人は海に飛び込んで逃げた。従者はカビリアを連れて逃げ、たまたま会った若い女にカビリアを託す。自分は捕まり、粉引きにされる。託された若い女はカルタゴの高官の娘であった。カビリアはその女の侍女として成長する。

ローマとカルタゴやシラクサとの戦いの場面がある。ハンニバルのアルプス越えや、シラクサでアルキメデスが反射鏡でローマの船を燃やすとか。あの軍人も従軍していた。長年の後再びカルタゴに来る。粉引きにされていた従者を助ける。二人はカビリアを捜すが分からない。あの高官の娘は政略結婚に利用されていた。軍人らは敵方に捕まり牢に入れられる。侍女にされていたカビリアは捕虜に水をやる際に二人に会う。高官の娘はかつての恋人が敵になっており、その恋人から送られてきたのは毒であった。もうこちらはローマ軍に征服される。娘は毒を飲んで、あれこれ指示し、死んでいく。カビリアは助けられ、軍人らと故郷に帰る。

2025年10月9日木曜日

将基面貴巳『日本国民のための愛国の教科書』百万年書房 2019

著者はニュージーランドの大学教授をしている政治思想史研究者。愛国心には2種あり、もともとはpatriotismであるが、これ以外にもnationalismがあると言う。前者は共通善をめざす考えである。後者は後に出てきたもので、特にフランス革命時に大きく成長した概念である。nationalismは国民や民族にこだわる。著者は共通善を目指すpatriotismが望ましい愛国心だと言っているようである。

この本では事実の認識と、著者のこうあるべきという主張が混在していてどうも読みにくい。もちろん著者の主張は結構だが、まず正しい認識を開設して、それから著者の主張をしてもらいたかった気がする。また文中で読者への問いかけや普通こうなっているという説明で、自分としてはそこで前提とされている日本人の普通の回答に同意できなかったので気になった。

2025年10月8日水曜日

泉鏡花『外科室』 明治28年

伯爵夫人の手術がある。その模様を参観している画家が語る。伯爵夫人は麻酔をなんとしても拒む。周囲の者が説得しても無駄である。うわ言で何か言うのを恐れているのである。手術をする医師の名を確認する。実は元から知り合い以上の仲だったのである。夫人は自分を知らないだろうと言うが、医師は知っていると答える。手術で夫人は死ぬ。

後半の部分は昔に戻る。医師がまだ若かった頃、後の伯爵夫人に小石川植物園で会った。それから詳述はないが、二人は相思となり、またこれも明示的に書いていないが、医師は手術で夫人が死んだ後、自殺した模様。本編は短編だが、泉鏡花の代表作の一とされている。

志村五郎『鳥のように』筑摩書房 2015

前著『記憶の切絵図』に続く本である。前著は著者の自叙伝といった感じで、特に最初の100ページ(文庫)ほどは少年期を書いている。戦前の東京では、生活がどんなであったか書いてあり、戦前の東京の実際の一例として面白い。それに対して本書は著者の関心の赴くままの随筆である。

著者は学者というものは大抵そうなのだろうが、お山の大将、と言って悪ければ一国一城の主で、恐ろしく自信家である。そうでなければ学者などやっていけないのだろう。

本書では丸山眞男について書かれた章が特に有名(?)であるようなので、それについて自分なりの要約をする。政治学者の丸山は東大を辞めた後、1975年にプリンストンの高等研究所に来た。プリンストンにいた志村あてに丸山の世話を頼む依頼が数通来たとのこと。丸山は志村より15歳ほど年上で、戦後を代表する政治学者として既に有名だった。しかしながら志村と丸山は全く合わなかったようだ。丸山がいかに無知であるか、丸山の自分自身の無知に対して素直でない態度を盛んに揶揄している。中国の古典や成句に関しての無知を、これは丸山は江戸の思想を研究対象の一つとしていたから、それを知らないとはと呆れている。丸山の音楽好きは有名だが、その音楽についてもろくに知らないので、嘲るといった口吻である。志村は前著でも、権威とされている数学者を遠慮なく批判している。これは同業者だからその気になるとは推測できる。しかし政治学者と数学者などは関係ないから、攻撃する必要もない気がした。これは途中に書いてある事情で分かった。丸山が書簡で志村を話題にし、自信過剰で、知らないことを大言壮語していると書いてあるから。これを読んだ志村は怒り心頭に発し、本書でいかに丸山が無知のつまらない人間か、やっつけているのである。

2025年10月6日月曜日

吸血怪獣のヒルゴンの襲来 Attack of the giant leeches 1959

バーナード・L・コワルスキー監督、米、62分、白黒映画。フロリダの田舎町の沼に棲む、放射能によって巨大化した蛭が人間を襲うという映画。舟に乗っている男がヒルゴンらしきものを見て驚き、みんなに話すが信用されない。後に沼に舟で出た男たちが餌食になる。行方不明になって捜索するが見つからない。後になって見つかった死体は血が吸い取られていたと分かる。

酒場の親爺には若い妻がいて、店で働いている男といい仲になっている。沼のそばで逢引していると夫の親爺が見つけて、銃で脅す。男は命乞いをする。沼から現れたヒルゴンに男も女も捕えられる。親爺は警察に言っても信用されず、牢屋で首吊りする。実はヒルゴンに捕えられた連中はすぐに殺されずに沼の中のヒルゴンの棲み処に横たわっていた。ヒルゴンが必要に応じて血を吸うのである。沼の中を捜索する。水中撮影がある。ダイナマイトで沼の底を爆破する。捕えられていた女の死体が浮かび上がるだけでんく、ヒルゴンの死体も浮いてくる。

2025年10月5日日曜日

プルート・ナッシュ The adventure of Pluto Nash 2002

ロン・アンダーウッド監督、米、95分。エディ・マーフィ主演。21世紀後半、月には人類が居住するようになっていた。その中のリトル・アメリカという都市で、マーフィは流行らない店を買い取る。ギャングに借金返済が出来ない主人から、借金を肩代わりし返済し、その店を改造し所有主となった。

数年後、大いに繁盛している。若い歌手志望の女がやってくる。勤める予定だった店がなくなっていた、使ってもらえないかと。マーフィは女給として雇う。この店を買い取りたいと言って来る者が来た。断ると店に爆弾を仕掛け、爆破してしまう。その犯人をマーフィ、女、マーフィが使っている用心棒のロボットで追いかける。派手な立ち回りがある。

相手側はマーフィを消そうと殺し屋を雇う。殺し屋一党はマーフィたちを狙うが、マーフィらはマーフィのファンに助けられる。マーフィは殺し屋の背後にいるボスを突き止めようとする。そこに行く。するとマーフィと瓜二つの者がいた。マーフィのクローンで、今は月世界のボスとなっている。マーフィは自分のクローンと戦う。同じ見た目なので、見ている子分など区別がつかなくなる。最後はマーフィはクローンを倒し、店は再び繁盛する。

2025年10月3日金曜日

狂った一頁 大正15年

衣笠貞之助監督、79分、無声映画。芸術的な映画を作ろうとする衣笠の計画に、横光利一や川端康成などが協力して作成された。実験的、表現主義的映画である。

精神病院が舞台である。豪雨の中、映画は始まり、踊り続ける女が出てくる。ここで働くこ使いの妻が入院している。こ使いはかつて妻子を顧みなかった。妻子は自殺した。妻は自分のみ助かったので悔いて、精神がおかしくなった。後に娘が現れ、結婚しようとする。こ使いは自分の妻を病院から出させようとするが、失敗する。こ使いは病院の医師と格闘し、倒す。これらは幻想であったか。ともかく字幕が全くついておらず、単に画面だけを追っていても筋はよく分からない。筋を確認してから見るべき映画である。

2025年10月2日木曜日

西部戦線異状なし All quiet on the western front 1930

ルイス・マイルストン監督、米、136分。レマルクの同名の小説の映画化。アメリカ制作なのでドイツの登場人物達は英語を話す。フランス娘のみ仏語。

第一次世界大戦が始まり、ドイツの学校では教師が生徒らに戦争へ駆り立てる講義をしている。仲間らと入隊する。教育訓練役は以前は郵便配達夫であった男である。気楽に話しかけると上官だと𠮟り飛ばされる。しごきのような訓練をする。戦線に出る。最初の戦闘から、仲間の一人が死ぬ。後に戦闘をする度に仲間は犠牲になっていく。フランス娘たちとの付き合いもあった。

数年後、主人公は一時帰郷する。家族は喜ぶ。かつての学校に行くと相変わらず教師は生徒らに戦争賛美の話をしている。主人公が来たので英雄扱いし、何か話せと言う。主人公は悲観的な話しかしないので、生徒らは怒る。軍隊に戻る。かつての仲間と再会し喜ぶが、その仲間は戦死する。主人公も最後に狙撃されて映画は終わり。

2025年10月1日水曜日

昆虫怪獣の襲来 Monster from green hell 1958

ケネス・G・クレイン監督、米、71分、白黒映画。宇宙ロケットに虫などを入れて発射し、影響を調査していた。そのうち蜂を入れたロケットがアフリカに落ちた。アフリカでは怪物が出て、環境、動物に被害を及ぼしていた。当地の医師は一隊を引き連れ調べに出かける。しかし巨大蜂に襲われる。

アフリカに落ちたロケットを調べに、アメリカの科学者が来る。そのアフリカ横断がかなりの尺を占める。怪獣映画かと思ったらアフリカ探検映画かと思うほどである。ここの部分は他の映画からフィルムを借用して作ったらしい。苦難の道中で、科学者は病気になる。気が付いたら目的地に着いていた。医師の娘に会う。父親がまだ帰ってこないので心配している。連れて行った黒人が帰ってきて医師が殺されたと告げる。怪物に、である。調べると蜂の毒で死んだらしい。

科学者らは調査に出かける。医師の娘も同行する。途中で村人全員が死んでいる場所があり、運搬役の現地人はみんな逃げる。後は科学者らだけで行くと、巨大な蜂の群れを見つける。手榴弾でも死なない。襲われそうになり洞窟に逃げる。入口は爆弾が破裂し塞がってしまったので、奥に進む。ようやく地上に出られた。その時火山が噴火し、溶岩が流れる。その溶岩によって巨大蜂群は絶滅した。