2023年7月4日火曜日

バルザック『老嬢』 La vieille fille 1836

主人公のコルモン嬢は40歳で独身という老嬢である。田舎町に住み、広壮な屋敷を構え資産も十分にある。この老嬢と財産目当てで結婚したいと思っている男が三人いた。老いているが未だに洒落者の貴族、自由主義者の成り上がり者、20歳代の青年である。いずれも老嬢の財産が目当てである。もちろん老嬢も結婚したくてたまらないのである。

この田舎町にロシヤから帰って来た子爵が来る。屋敷を捜しているという。老嬢はこの子爵と結婚して子爵夫人になる夢を見る。老嬢の屋敷に来たのでもてなす。ところが後になって子爵は結婚して子供もいると分かる。老嬢は痛く失望する。その傷心した老嬢に自由主義者は求婚し、承諾を得る。老嬢が結婚すると分かり、老貴族は老け込み、青年は自殺する。結婚して主人となった自由主義者は自分の出世のために老嬢の財産を思う存分利用する。(私市保彦訳、水声社、2017年)

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