入門となっているが、かなり個性的な政治思想史である。詳細に扱っている思想家はプラトン、アリストテレス、マキャヴェリ、ホッブス、ロック、ルソーである。著者自身があとがきで、まさかのルソーで終わってしまった、などと書いており、もっと書くつもりだったらしい。ただこう書かれると、あまり計画性のない著者なのかと思ってしまった。
正直、入門書なら政治思想史上、特に重要な思想家である上記6人で十分というか、重要な思想を丁寧に解説した方がいい、という選択肢もありえよう。あまり手を広げるだけが教科書の在り方ではない。今、入門書ならと言った。本書は入門と題にあるが、初めに書いたように結構専門的な書に見える。ここで入門書といったら宇野重規『西洋政治思想史』(有斐閣)などを念頭に置いている。本書のような著も大いに結構で、ただ題に入門を入れる必要はないと思う。最近は本書とか小野紀明『西洋政治思想史講義』(岩波)のような個性的な通史が出てきて教科書の幅が広くなっている。
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