ホー・メンファ監督、香港、90分。
香港版キングコングといった印象がまずある。キングコングと最も異なるところは女ターザンの登場と活躍である。全体的にキングコングをなぞっているような筋だが、映画の細部は破茶滅茶であり、真面目に議論する映画ではない。こういうふざけた作品が好きな人がおり、そういう人にとってはかなり面白い作品ではないか。
ヒマラヤで巨大な足跡が発見された。ヒマラヤの雪男のような話だが、それを捕まえに香港から探検隊が派遣される。主人公の探検家は失恋の痛みを癒すために参加する。隊の目的は捕まえた動物を見世物にした金儲けである。現地では巨大なコングが出現し、村を破壊する。
探検隊は目的地に行くまでかなり困難な目に会い、多くの犠牲を出す。もうこりごりだと他の隊員らは逃げて帰る。主人公は巨大な猿、映画の題で言えば猩々に掴まる。それを助けたのは女ターザンだった。金髪の西洋人で猩々(名はある)に命令し、他の動物らとも戯れる。主人公がどうして来たのかと尋ねると、幼い時両親の操縦する飛行機が落ち、自分だけ助かり猩々に育てられたと分かる。お互いに好きになり、女の命を主人公が救ったこともある。主人公は女に猩々を香港に連れて行こうと提案する。それから後は、香港を舞台にしたキングコング映画である。ただし特撮に日本の映画人が加わっているそうで、怪獣映画を観ているような趣きになる。
猩々の最後もキングコングと同じである。ただし女ターザンが加わっているので、悲劇性はより高い。女ターザンはビキニのような原始人衣装、色気担当で娯楽性を増すためだろうが、それだけでないと全体を観れば分かる。映画の前半はヒマラヤの自然で動物たちとの戯れ等があり、俗悪な文明社会の都会と比べ、自然保護をうたっているようにさえ感じてしまう。初めに真面目な映画でないと書いたが、こう理解すると元のキングコング物より深い映画かもしれない。
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