刑務所から脱獄してきた男はかつての妻のところに行く。妻は別の男と結婚していた。妻は男が戦争で死んだと思っていたのである。男は妻の今の夫と争い、銃を相手が出したので撃ち殺してしまう。今の夫を嫌い、昔の男を今でも愛している妻は男と一緒に逃げる。
明くる日、死体が発見される。妻がいない。妻の犯行だろうと警察は考え、妻の行方を追う。小説は逃避行を続ける妻と元の男、それを追う刑事の話が交互に出てくる構成になっている。刑事は逃げる者の心理を推理し、それによって追っていく。逃げる側は男の方は精神がやや正常でなくなり、追手の警察を恐れている。妻は冷静になってどうすればよいか考慮して男を励ます。刑事は追う先で、ここに追っている犯罪者がいるのではないかと直感し、男の方も自分を追っている警察の眼を感じる。からくも追手をくらますが、最後にアイルランドに渡って、二人で暮らせると思った家に警察がやってくる。銃の撃ち合いとなり、男は倒れる。それを希望していたと知っていた妻の企みがあった。
追う刑事が最後に台詞で自分が黒人だと明かすのがこの小説の有名なところらしい。ある一行で伏せられていた事情を明かすというのが推理小説では好まれているらしい。(大久保康雄訳、創元推理文庫、1961)
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