クイーンが書いた三つの犯罪実話集を収録。『私の好きな犯罪実話』(1956)、『エラリー・クイーンの国際事件簿』(1964)、『事件の中の女』(1966)であり、以上の訳が本書である。
犯罪実話と言っても、事件の記録そのままというより、事件を元に脚色し小説化しているようである。例えば初めに『エラリー・クイーンの国際事件簿』があり、これは20話あって名の通り、世界各国の事件を扱っている。第2話に「東京の大銀行強盗」とあって、これは題からすぐに想像できないかもしれないが帝銀事件を元に書いている。自分が名をつけるなら「東京の大量殺人事件」とか「東京の毒殺大事件」とかにする。
犯人は平沢でなくキヨシ・シムラと変えてあるが、帝国銀行椎名町支店とか安田銀行品川支店などはそのまま使っている。事件の内容はかなり自由に、というかデフォルメ、茶化して書いている。帝銀事件は日本の犯罪史上の重要事件であり、これまで多くの本や映画、ドラマがある。インターネットでも情報は多くある。それをここの記述は、まるである事ない事を、読者が面白ろおかしく読めるように脚色した、風俗雑誌を読んでいるようである。
実際の犯罪は事実ということで、こさえ物の推理小説より面白く読める場合が少なくない。しかしここの立場は手を入れなくてはならない、あるいは入れたい、という考えのようだ。第5話「アダモリスの詐欺師」はルーマニアが舞台で、寒気のするほど陳腐な犯罪が書いてある。今までドラマなどで何百回使われたか分からない手口である。これで読む気が失せた。(飯塚勇三訳、創元推理文庫、2005)
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