著者は社会人類学者でインド南部で暮らし、その経験からインドの社会の実態を書いている。最近のインドは経済の躍進として語られる場合が多いが、ここでは現代なお息づくインド社会の問題点の幾つかを洗い出している。
インドといえばカーストと誰でも思うだろう。ただこのような捉え方だけではインドの実際は分からない。インドのカーストと聞けば、バラモン、クシャトリア、ヴァイシャ、シュードラと答えるだろう。このような身分制は「ヴァルナ制」というそうである。これとは別の切り口で職業別とも言うべきジャーティという区分がある。土地持ち農民のカースト、商人・金貸しのカースト、職人カーストなどがその例である。またこのカーストに属さない、ダリト(不可触民)、アーディーヴァシー(山岳地域の部族民)という身分がある。
特にこのダリトと呼ばれる不可触民は、交わると穢れるという意識が持たれている。新書の初めにある挿話には、上級層の娘が好きになって結婚した相手がいた。それが後になって夫は不可触民と分かった。すると妻の家族がその夫を殺してしまったのである。不可触民とはそのように扱われているのである。同じ国民なのに驚くべき発想と実際である。
ただ本書にはそのような事例ばかりでなく、より下の層がどうやって上昇していくか、といった例もある。ともかく才覚と実行力がなければ全くどうにもならない社会である。インドの成長の中での変化が書いてある。
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