イースト川に面した、ニューヨークの東53番街にあるというグリーン家の古い屋敷で起こる連続殺人事件。現代までの推理小説に親しんでいる者であれば犯人はすぐに見当がつき、いつまでも悩んでいる探偵たちがもどかしく思えるだろう。
中学生の時読んで、それ以来の再読。犯人は分かっている(覚えている)し、改めてファイロ・ヴァンスの衒学癖に驚くというか辟易する。グリーン家の2階の見取り図があって各人の部屋の配置がある。なぜこの人間がこの部屋になっているか、これは小説に出てくる事件の都合上、作者が決めたのであろう。それを離れ、各人の部屋の配置について色々考えてしまう。本小説に現在では感心する者がいるか不明であるが、この小説の設定というか枠組みがクイーンの『Yの悲劇』(1932)に影響を与えたと思われる。
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