2025年2月18日火曜日

坂口安吾『風と光と二十の私と』 昭和21年

著者の自伝的私小説風の作品。旧制中学を落第等によって20歳に出た。大学に行くつもりはなかった。それで下北沢にある小学校の分校の代用教員となった。大正14年のことである。

当時は全くの武蔵野で農家などもあまりなく、原始林などがある原野が広がっていたという。小田急が走って開発の始まる前である。分校に通う児童たちについて書いてある。子供たちの方が大人より深刻に悩んでいるとあるのはその通りだと思う。また女子では問題がある、というか不憫な境遇にある者がいた。ここに出てくる子供たちは大正初期の生まれであろうから、もう亡くなっているだろう。昔の話である。

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