2023年5月29日月曜日

バルザック『従妹ベット』 La cousine Bette 1846

主人公の従妹ベットは老嬢。恵まれている従姉のユロ男爵夫人の一家を激しく恨み、表面上は味方を装い、何とかして一家を不幸に陥れんとする。

ユロ男爵は老齢ながら女好きは老いてますます盛んになり、若い女に入れ揚げ、貞淑な妻を裏切り一家の財産を蕩尽し、信用を全くなくす。ユロ男爵は女に裏切られると新しい女を捜すが、ヴァレリー・マルネフ夫人への恋情は激しい。このマルネフ夫人は妖婦であり、周囲の男どもをみんな誑し込み、男どもは夫人に熱中する。商人上がりで今はパリの区長をしている男、ユロ男爵の娘が恋し結婚したポーランド出身の芸術家、ブラジルの資産家、みんなマルネフ夫人の虜になる。もう一歩でベットの一家への恨みは成就するかと思ったが、ベット自身が病死、妖婦も醜く破滅する。

男爵を一家は取り戻し、幸福になったかに見えたが、最後まで男爵の女好きは治らなかった。ユロ男爵夫人が貞節献身の塊であり、夫の男爵と完全な対照をなしている。(水野亮訳、河出書房文学全集)

0 件のコメント:

コメントを投稿