2020年9月15日火曜日

オリヴァー・サックス『道程』 On the Move 2015

 


脳神経科医オリヴァー・サックスの自伝。1933年にイギリス生まれた。両親とも医者で四人兄弟の末っ子だった。欧州の知的ユダヤ人家庭のイメージとおりの育ちに見える。幼い頃から頭が良くケンブリッジ大に入って医学を学ぶ。ただ文弱の秀才とはほど遠い。まず冒頭からオートバイが好きだったと述べる。科学、文学とも好いていたとある。のちにアメリカに渡る。研究者には向いていないと分かり、臨床医として一生過ごす。神経科医として自分が知った多くの患者との経験で、興味深い書を多く著し、有名になる。

感心するのはそういう公の経歴よりも、生き方である。ともかく行動的で色んな体験をやってみる、多くの有名人と会う、有名人でなくとも人間として興味深いというか人格的に優れた人々と交流してきた。更に困難な経験も当然ながらしている。自分のような凡人は圧倒されるばかりの人生である。西洋の知的巨人の一生の例として読める。

大田直子訳、早川書房、2015

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