2020年9月3日木曜日

アンドレ・ド・ロルド『ロルドの恐怖劇場』 2016

 


著者のロルド(1869~1941)は、フランスの作家である。パリにあったグラン・ギニョル座で上演された猟奇的な演劇の台本作家で知られる。本書は台本を基にしたものを含め、短篇22篇が収録されている。怪奇物語集である。短篇より更に短く、コントといってよいような作品もある。量的な短さと言うより、焦点を絞った話という意味である。

どの作品も普通の怪奇小説に比べ、筋は単純であり物足りない感じを持つ者がいても不思議でない。これは古い映画、特に無声映画は単純で、最近の映画は内容がすごく凝っていてひねってある物が多い、に比べられようか。20世紀の初頭のパリではこんな劇が鑑賞されていたという懐古的な趣味を持っていれば特に楽しめる。

平岡敦編訳、ちくま文庫、2016

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