2020年9月2日水曜日

ユゴー『ノートル=ダム・ド・パリ』 Notre dame de Paris 1831

 


文豪ユゴーが30歳前に発表した長篇小説。ノートルダムの傴僂男の邦題で長く親しまれてきたが、傴僂男のカジモドだけでなく、ユダヤの美女エスメラルダ、そして司教補佐のクロード・フロロも主要人物である。舞台は15世紀後半のパリ。皇太子の結婚に関する、お祭り騒ぎのパリから話は始まる。詩人が盗賊の区域に迷い込み、エスメラルダに助けられる。謹厳実直居士の司教補佐のクロードはエスメラルダを見てすっかりその美の虜になる。ファウストなみの話かと思いきや、このクロードは小説に出てくるキリスト教の聖職者によくある偽善者で、ろくな男でない。ただし傴僂というより奇形で醜悪なカジモドを子供の時から救ってノートルダム寺院の鐘番にしてやったのもクロードである。エスメラルダは不当な刑で縛られていたカジモドに水をやり、エスメラルダはカジモドの敬愛の対象になる。

エスメラルダは軽佻で浮気な士官に、色男だけという理由ですっかり惚れ込む。士官の方はエスメラルダを多くの女の一人しか見ていない。エスメラルダに狂ったクロードは、士官を使いエスメラルダをものにしようとした。士官へ嫉妬したクロードは士官を刺す。エスメラルダが殺人の犯人にされる。もっとも士官は死んでいなかった。裁判でエスメラルダは死刑を宣告される。刑の執行間際になってカジモドがエスメラルダを助け逃げる。ノートルダム寺院に隠す。エスメラルダを助けようとした群衆が寺院を襲う。王の軍隊によって暴動は鎮圧される。エスメラルダは逃げ、実の母親に会うが捕まえられ、絞首刑になる。クロードも寺院の上から落ちる。カジモドは墓でエスメラルダの死体と共に一緒になり果てる。

辻昶、松下和則訳、岩波文庫、2016

0 件のコメント:

コメントを投稿