2018年5月7日月曜日

田山花袋『田舎教師』 明治42年


田舎の尋常高等小学校の教師を勤めることになった青年、清三は文学志望であった。

家計の貧窮から上京して文学の勉強など無理であった。郷里の近く、埼玉県北部にある学校の教師の口を得た。以前からの親友たちは上京し、夫々の道を進んでいる。
清三は田舎にいて自分の遅れを意識し、また淡い気持ちであった女関係も進展しない。最後はかつての志も遠くなり、病にたおれる。

田山花袋は『蒲団』の方が良く読まれているかもしれない。ただそれに劣らず知名度の高い本作は、発表と同時に自然主義の傑作と評価された。
正直、本作の主人公のような青年は多くいたであろう。貧乏で病に倒れるまではいかなくとも、若き日の夢を叶えられなかった、叶えられない人はいつの世も多い。

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