政治思想史となっているが、歴史を追って思想家やある思想を解説していく形式でない。例えば「空間と政治」とか「時間と政治」という切り口で日本の政治を捕えていく。また徳川の政治体制を朝鮮との比較で論じる。天皇が日本の政治でどういう意味を持ってきたのか、現在までその意味を考える。
江戸時代の本居宣長や平田篤胤を論じるなどは標準的な話題だが、鉄道がもった政治思想とか東京と大阪の比較など新鮮な視点である。更に近代の政治思想の中でマルクス主義とキリスト教を正統と異端の議論の中で論じ、戦後の日本の政治体制についても議論する。新鮮で多岐に渡った議論であり、読んでいて面白い。何より読みやすいところが長所である。
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