芥川が死の年に発表した短篇。画家の玄鶴は病気で家に看護婦を置き、世話になっている。玄鶴の妻は以前から病気である。同居する婿は大したことのない男で、玄鶴の娘との間に男の子がいる。その家に昔、玄鶴の二号だった女が子供を連れて世話をしにやって来る。子供は玄鶴の子である。その腹違いの弟を孫がいじめる。
看護婦が嫌らしい女で玄鶴の妻、娘、元二号の、三人の女のぎくしゃくを面白がって見ている。やがて玄鶴が死に、小説は終わる。自然主義的色彩の強い小説である。自然主義に属さない近代の小説家も、時々自然主義的な作品を書く。漱石の『門』のような。
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