2024年8月27日火曜日

稲垣足穂『フェヴァリット』 昭和13年

多理という少年の回想録や空想が童話的、幻想的につづられる。被虐趣味的なところがあり、三島由紀夫を思い出した、と言ってもこちらの方が先に書かれているが。

以前というか昭和40年頃、中央公論から「日本の文学」全80巻か88巻か、当時の流行りの文学全集が出ていた。その中で内田百閒、牧野真一、稲垣足穂の巻があった。稲垣や内田はその当時は文学全集に収録されるほど有名ではなかった気がする。その巻の編集者は三島由紀夫で、解説で稲垣足穂を絶賛していた。実際に読むと三島と同じ趣味の持ち主である。短編で童話的なところが好まれているかもしれないが、正直あまり面白くない。

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