2024年8月27日火曜日

芥川龍之介『将軍』 大正10年

題名の将軍とは乃木希典を指す。文中はN将軍となっているが、日露戦争を舞台にした短編ですぐに乃木将軍と分かる。幾つかの挿話から成る。

行軍中の兵隊らの会話がある。N将軍、即ち乃木将軍がやってきて激励するが、後であまり有難くないと会話を交わす。支那人を捕虜にして尋問している。間諜の疑いがある。将軍がやって来る。間諜の靴に文書が隠されていたと分かったので処刑する。慰問の芝居をやっている。ふざけた芝居で兵士らは笑うが、将軍が来て𠮟りとばし、止めさせる。ピストル強盗や忠臣蔵系のものは感心してみている。最後の挿話は乃木の自刃より後で、肖像画を見ながら乃木をどう思うかと若い兵士に聞いている。

文中伏字でX点になっており元が分からない箇所が幾つかある。それにしても乃木を神聖視するのでなく、批判的に描いているので、よく当時書けたものだと思った。

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