神童のピアニストとして有名なキーシンによる自叙伝。今、神童と書いたが、1971年生まれでもう50歳を過ぎている。そのキーシンがモスクワに生まれてからの、ピアノ奏者としての訓練やデビュー後、いかなる演奏者と共演したか、その際の感想、音楽家としての心構えなどが主である。驚くべき人生を送った自叙伝があるが、本書は淡々とした記述である。ピアノ奏者としての経験が主で、突拍子もない出来事が書いてあるわけでない。その分、天才的と人から言われようが、演奏家本人がどう感じ考えているかが分かる。キーシンがこれまで知った、共演した音楽家の中には世界的に有名で、普通の音楽好きなら知っている名の他、知らない名前も沢山出てくる。
また本書を読んで特徴と言えば、キーシンはユダヤ人であり、イディッシュ語を使ったり、後にはイスラエルに国籍を移したりしている。このようなにユダヤ愛で溢れており、本人は強く意識している。ほとんどの日本人は国籍と人種の違いなど考えたこともなく、それで済んでいるから、随分異なった人生、世界だと思った。
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