2022年9月1日木曜日

青木昌彦『人生越境ゲーム』日本経済新聞社 2008

著名な経済学者の自叙伝。当初日経新聞の「私の履歴書」欄に掲載され、それを拡充したものである。昭和13年生まれの著者は60年安保騒動の真っ只中に、学生運動の中心人物の一人となる。警察に捕まり留置された経験がある。それより当時の学生の精神を完全に捉えていた革命運動への思いが当事者の口から語られる。

アメリカに留学し、学者の道を進む。アメリカで活躍し、比較制度分析という新しい経済学の分野を開拓する。この制度とは今ならシステムといった方が通用しやすいかもしれない。各国の歴史的、社会的、慣習的事情が夫々の経済を形作る。保守本流の経済学では抽象的な数理志向による分析が中心であるが、それに挑戦した経済学分野の一つである。

日本に戻ってからも中央官庁の研究所の所長をしたり、中国への関心を持ち、日本とアメリカの学界を跨いで活躍した。

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