著者は政治思想史専攻の政治学者。本書は政治の悪い面をどう発見し、それを直すすべはあるかを議論する。
政治思想史では理想的な政治体制や行動を議論してきたが、むしろ望ましくない政治をどう正しいものにするかの検討が必要とされていないか。かつての第二次世界大戦時の枢軸国の政治はとりわけ悪政であるが、今日でも政治の問題は山積している。
こういった問題意識から政治の病理を探るため、医学の診断学の考えを応用する。医学でも病気等が悪化する前にいち早くその原因を知って、予防措置がより効果的である。政治思想でも過去の偉大な思想家は政治の病理を、医学的な例えでしばしば説明していた。その例が紹介される。著者の専門が生きている。現代の政治の診断についてはどうしても学者なので抽象的な議論になる。
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