現役経産省官僚が書いた経済の解説書。経済に関する通常の説明とかなり異なった内容になっている。
それで驚くのは確かだが、「はじめに」にあるようにこれ以上は無理というくらい分かりやすく説明した、とはとうてい言えない。最初にあるように「本書のページをめくるごとに、衝撃的な体験をすることでしょう」とはその通りかもしれない。ただそれは意味が分からない記述があって、初心者が面食らうであろうという意味である。貨幣が負債だとか、税金は貨幣を流通させるためとか、理解がすぐにはできないような言葉がいきなり出てくる。分かりやすい書き方ではない。
これらは現代貨幣理論という、最近流行りの理論の主張であって、使う前に十分に説明を尽くさなければならない。この理論の政策的含意は、政府の支出は(ある条件のもとで)いくらでも構わない、というものでケインズ派の政策を更に後押しするものである。著者が経産省官僚である点を思うと、省益に全く叶う主張である。更に貿易で保護貿易を主張しているところでその立場がより鮮明に分かるだろう。
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