本書は21世紀のアメリカの連続殺人犯、イスラエル・キーズの犯罪(分かっているもの)とその捜査、訊問、キーズの生い立ちなどが内容である。まず2012年、アラスカで飲食店のバイトをしていた女高生が行方不明になった事件から始まる。3月にテキサス州で容疑者が捕まる。これが犯人だったわけだが、本書の大部分は容疑者(犯人)と操作側の訊問である。犯人は女高生の犯罪について話そうとしない。それなのに過去の殺人その他の犯罪まで示唆する発言があった。少なくともバーモント州の夫婦の殺害については分かった。女高生の殺害模様も後に犯人から語られるが、多くの目撃者が犯人と被害者の乗っていた車を見たにもかかわらず、見逃していたと分かる。
正直言ってあまり読み易い記述でない。実際の犯罪捜査の記録というせいもあろうが、関心を持って読み進められる本ではなかった。事件を担当した捜査検事がいかに無能であったかが延々と書いてある。しかもなお犯人が獄中で自殺してしまうのである。これで他にも犯した可能性のある犯罪は分からずしまいになった。
村井理子訳、亜紀書房、2021年
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