2017年12月17日日曜日

新入りの死刑執行人のための事件 Případ pro začínajícího kata 1969



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パヴェル・ユラーチェク監督、脚本、バランドフ撮影所作品、チェコ白黒映画。

『ガリヴァー旅行記』の第3部のラピュタ、バルニバーニの挿話を基本にし、不思議の国のアリスの影響も見られる。更には不条理劇と言える内容からはチェコの作家カフカの小説を連想させる。

主人公の名はまさにGulliverと言うが、チェコ語の発音ではグリヴェラのように聞こえる。その男が車を運転している。兎をはねる。崖下に車は転落大破。男は車から飛び出し助かった。兎を見ると服を着ている。男の不可思議な体験が続く。昔死んだ少女に見たり、銃撃戦があったり。不明な話が展開していき、意味ある筋はないのかと思ってしまう。ともかくバルニバーニ国から、そこを支配するラピュタという天空に浮かぶ島へ行かされる。塔の中へ閉じ込められ、ラピュタへつながる、ラピュタの国で高官と会話する。モンテカルロへ行ったかと聞かれ、肯定すると国王がそこのホテルのボーイをしていると言われる。

元のバルニバーニに戻る。人々からラピュタの模様を聞かれる。何もないと答える。
題名は映画途中で出てくる死刑を執行しようとする挿話からだろう。主人公ほかが死刑の執行のため連れてこられる。そこには木材でできたハンガーが架かっている死刑台がある。

不条理劇としか言いようのない映画であるが、体制批判ということはすぐわかる。意味不明の進行は社会の不条理さを表わし、ラピュタの空疎さは国の上層部、共産党批判であろう。映画は上映直後に禁止になり、監督はキャリアを終わらされてしまったそうである。

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