2019年1月20日日曜日

六本木バナナ・ボーイズ 平成元年

成田裕介監督、東映、90分。
『ビー・バップ・ハイスクール』の主人公二人、仲村トオルと清水宏次朗を起用し、六本木を舞台にした若者の話。

主人公二人は六本木で生まれ育った、カメラマンの仲村とカフェ店長の清水である。二人は騒ぎを起こし、幼馴染で東大出の刑事から説教される。
外人の女の子を助け、本国へ戻してやるまでが、主な流れになる。たまたま会った外人の女の子はパスポートを取られ暴力団のような組織から脅かされている。清水と仲村は暴力団へ忍びこみ、パスポートなどを盗み出す。更に仲村に惚れている金持ち女から借りた三百万円も外人の女にくれてやる。清水、仲村は麻薬を取り戻そうとする暴力団や警察と、車の追っかけをする。外人女は善人でなかったとわかるが、飛行機で飛び立たせる。

国立フィルムアーカイブの黒澤満特集で、上映後、監督から挨拶があった。ビー・バップ・ハイスクールの大ヒットを受け、主演二人をここでも使った。ただビー・バップほど売れず、続編も作られず、同期であるビー・バップの監督ほど儲からなかったとぼやいていた。
バブルの絶頂期に作られ、当時の雰囲気がある程度わかる。

2019年1月18日金曜日

ビー・バップ・ハイスクール 昭和60年


那須博之監督、セントラル・アーツ、95分。

不良の高校生二人が、ライバル校の生徒相手に暴れまくる。二人がオーディションで選ばれたという仲村トオルと清水宏次朗である。その二人のマドンナの女高生として中山美穂が出ている。主演二人はともかく暴れたい、それしかないような連中である。
映画の常として、喧嘩っぷりはかなり非常識になっているが、その非常識さ、型破りが受けたであろう、若い世代には。大好評になり、続編が6作まで続いたそうである。

行きずりの街 平成22年

阪本順治監督、「行きずりの街」製作委員会、123分、仲村トオル主演。
「行きずりの街 映画」の画像検索結果
丹波篠山で塾の講師である仲村は、かつての教え子を捜しに上京する。その子の祖母が危篤で連絡が取れないためである。
なかなか足取りはつかめない。あるバーへ行く。そこのマダムはかつて中村が学校教師だった時の教え子で、関係をもち結婚もしたのだが別れてしまった女である。長い間疎遠であった。捜している女の子は誰かの愛人になっているらしい。更にある男は捜す仲村を叩きのめす。男は仲村を首にした学校経営者の秘密を握り、ゆすっている。女の子のパトロンもその一味である。
仲村は馘になった学校へ行き、真相を探ろうとする。経営者やパトロン、暴力的な男と立ち回りになる。一方、久しぶりに会ったバーのマダムとはよりを戻す。

かつての教え子で一旦は結婚したマダムとの再縁はわかりやすい。ただ女の子を巡る展開は複雑で正直わかりにくい。

2019年1月15日火曜日

ボクの女に手を出すな 昭和61年

中原俊監督、東映=バーニングプロダクション、95分、小泉今日子主演。
不良だった小泉が金持ちの家の男の子の家庭教師というか、世話役になる。それで犯罪に巻き込まれていくという話である。
「ボクの女に手を出すな」の画像検索結果
小泉は店員をしているが、客とのトラブルで首になる。たまたま弁護士が声をかけてくれ、金持の男の子の世話をするためその宅に住み着く。わがままで手を焼かせる男の子である。
知り合いの不良から声をかけられ、子供を誘拐して身代金を奪おうと言われる。小泉は拒否する。逃げて車で不良たちの車で追われる。事故が起こり不良たちは死ぬ。実は不良たちはある男から雇われていた。殺し屋らしい男は小泉と子供を追う。この逃避行が映画の主である。

映画らしく非現実な設定で非現実な展開が続く。これまた映画らしくどんどん人が死んでいく(殺される)。むずかしいこと言わずに娯楽作として観ればよいのだろう。小泉の人気全盛期の記録でもある。
それにしても題名が内容と合っていない。何か小泉を巡る男同士の映画かと思ってしまうが、ジョン・カサヴェテスの『グロリア』の枠組みである。

2019年1月12日土曜日

死の断崖 昭和57年

工藤栄一監督、日本テレビ=セントラル・アーツ、93分、松田優作主演。
テレビドラマ「火曜サスペンス劇場」で放送された作品。上映の冒頭や途中でも火曜サスペンス劇場という表題が出てくる。いかにもテレビドラマだとわからせる。

主人公で社長秘書の松田は、社長令嬢に恋し結婚したいと思っている。同時にそれは自分の出世にもつながる。社長は生まれの卑しい松田との結婚はさせないと断言する。
社長が情人宅で倒れる。頑として娘の結婚を許さない社長を、療養中に殺すしかない。松田はそう考え実行する。社長の死後、結婚し娘の持つ株により重役までなる。妻になった娘は、仕事ばかりの松田に不満を覚え、また父の死に関しても疑いを持つようになる。

ある夜、二人は口論し、事故で娘(妻)は亡くなる。松田は妻の死体を処理する。
妻の姉が外国から戻ってくる。父と妹の死に、松田が関係あると確信する。
最後は別荘での松田と姉の戦いである。松田は愛していた妻が亡くなってからは無気力になっていたとわかる。自殺同様に死ぬ。

社長令嬢と結婚し、邪魔者を消し出世していく。これはよく聞く話である。最後に松田は姉も殺すかと思いきや、告白で少し趣向が変わる。

2019年1月10日木曜日

ヨコハマBJブルース 昭和56年

工藤栄一監督、東映セントラルフィルム、112分、松田優作主演。
「ヨコハマbjブルース」の画像検索結果
元刑事の松田はロック歌手をしているが、それだけでは食っていけないので、私立探偵をしている。依頼で捜していた若い男は、横浜を仕切る組織のボスのところにいた。本人は帰る気はないと言い、依頼人である母親にそう告げる。

松田と親友の刑事は、組織に深入りし、危ないので刑事を辞めると松田に告げる。その時、銃声がなり刑事は倒れる。仲間の刑事は松田がやったのだと主張し、警察署で暴行を加える。
かつての恋人である亡くなった刑事の妻の情報その他から、組織の一員である男の犯行と知る。その男に近づくため、恋人であるゲイの男らを捕まえる。そこから知った麻薬取引に行くと亡くなった刑事の仲間がやって来て、悪人らを皆殺しにし、取引の金を奪おうとする。しかし刑事の乗った車は爆発する。

実は死んだはずの刑事は生きており、その刑事の仕組んだ芝居とわかる。松田は刑事を射殺する。刑事の妻、かつての恋人は船で去る。波止場に来た松田はカネの入った鞄を置いて去る。

単純に観ていると筋がよくわからない映画である。松田の原案とされているが、チャンドラーの『永いお別れ』に基づいている。松田の若き日をみる映画である。
題名にあるBJとは松田の映画内の名である。

ディケンズ『骨董屋』 The Old Curiosity Shop 1840-1

ディケンズ初期の作、長篇では『オリヴァー・ツイスト』『ニコラス・ニクルビー』に次ぐ。
少女ネルが祖父と共に債権者に追われ、骨董店の我が家を後にし、放浪の旅に出る、が大筋。
「骨董屋 ディケンズ」の画像検索結果
もちろん、こうした長篇小説の常として、脇役やネル道中以外の話が色々面白い。悪漢クィルプの造形、少年キットの他、女性ではサムソン兄妹の妹、「侯爵夫人」のあだ名を持つ女中を初め多くの登場人物が作品を彩る。
主人公ネルは純情可憐、善意、忍耐を絵にかいたような、ディケンズの小説にしばしば登場する肯定的人格である。発表当時、ネルの不幸は世上に血涙を絞らせたが、現在では非現実的に見える、精彩がないとして、ネルは全く評価されていない。しかし登場人物それだけを抜き出して云々しても構わないが、やはり作品全体の中で見るべきであろう。より個性的な人物と比較して面白味がなかったり、現実味が薄いのは確かだが、いうほど悪いとは思われない。

それにしても、かつてはネルのような人物が求められ、感傷的お涙頂戴的が望まれたのに、いつからこのような感傷的=通俗的=芸術的でないという価値観に変わったのであろうか。
北川悌二訳、三笠書房、1973年