2019年3月12日火曜日

ボズのスケッチ(下)岩波文庫、2004

ディケンズの処女作Skeches by Bpz 183612短篇のうち、6篇を所収。
ボズのスケッチ 短編小説集(下) (岩波文庫)
「蒸気船でテームズ下れば」「グレート・ウィングルベリーの決闘」「ミセス・ジョセフ・ポーターの出番」「ワトキンス・トトル氏に振りかかった難儀」「ブルームズベリーでの洗礼命名の儀」「大酒飲みの死」の諸編である。

「蒸気船でテームズ下れば」は法科生の音頭取りでテームズの川下りの、水上パーティーが企画され、その顛末。有名なジェロームの『ボートの三人男』があるし、テームズ川下りは娯楽行事として結構していたのだろうか。
「グレート・ウィングルベリーの決闘」は田舎町に逃げてきた男が間違えられて女と去る。西部劇に出てきそうな田舎の町のホテルが舞台。「ミセス・ジョセフ・ポーターの出番」は素人芝居が好きな一家の話。ディケンズが役者になりたかったのは有名、自分の家でも素人芝居をしていたそうだ。

「ワトキンス・トトル氏に振りかかった難儀」は中年独身男に見合いの話が持ち上がり本人はその気になるが、最後に相手の真意がわかる。「ブルームズベリーでの洗礼命名の儀」はひねくれ者の甥に子供が生まれ洗礼式に招かれ、甥をうんざりさせる。
「大酒飲みの死」は、酒浸りで一生を送った男、妻に先立たれ、子供たちも不幸になる。人生最後に胸に去就したものは。

ディケンズの25歳時の作品群で、彼らしい諧謔的な筆致。斜に構えたユーモアや揶揄が漂う。ディケンズが必ずしも我が国で名ほど広く読まれていないのは、こういう書き方によるのかもしれない。

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