インドネシアで1965年に起きた9月30日事件(スカルノ大統領が失脚しスハルトが政権を握る)を基にした記録映画である。
といっても当時の記録映像ではない。また事実を再現した映画でもない。
同事件ではスカルノ大統領の支援勢力であった共産党が大量虐殺された。その数は百万人以上にも及ぶという。その殺戮に関わった当時の軍人等、現在では年老いた人々である、その人たちに殺戮の様子をインタビューするという映画なのである。また殺人を再現する演技をそれらの人々にやらせる。
何より驚くのは殺人者たちが全く罪の意識を持っていないという点である。共産主義勢力の殺害は悪人を退治した、そういう自負なのである。罪の意識を持っていないどころか、愛国の英雄と自己評価をしている。
更に映画を観て初めて、当時のインドネシアでそんなに大量殺戮が行なわれたと知り、衝撃的であった。例えば1970年代後半のカンボジアのポルポト政権による大量殺人、またソ連や中国など社会主義諸国で反対派の大量の処刑が行なわれたとは周知の事実であろう。しかし自分だけなのか、インドネシアの共産主義者への処刑は全く知らなかった。
映画として観ていて、正直それほど面白い映画ではない。話を聞いたり、彼らに再現演技をさせていても、そんなに映画的な興味は起きない。こういう事実を知ったのは驚きであったが。
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