ナポレオン時代の准将ジェラールによる回想、8篇収録。比類ない剣の使い手、ハンサムで女にもてまくり、戦闘では超人的な活躍、奇跡的な強運で難事を乗り切る。まさに勇将の冒険譚である。
ドイルが何より歴史小説を自分の本領と考えていたことは有名である。ホームズ物は人気があるのでしょうがなく書いていた。それほど好みでなかったホームズ物が文学史上で特に有名な作品群となった。
それに対してこのジェラール物は確かにドイルが力を入れて書いたとわかる。奇想な素材だが筋は単純なホームズ物に比べ、かなり凝った話の展開となっている。ただし個人的な好みの問題だろうが、このジェラール譚は自分としてはそれほど感銘を受けなかった。なぜだろう。以前読んで文庫化されていない『白衣団』(White Compay)は面白いと思ったのに。再読してみたい。
上野景福訳、創元推理文庫、1971
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