2019年3月12日火曜日

櫻井武『「こころ」はいかにして生まれるか』講談社ブルーバックス、2018

著者は筑波大学教授の医者。題名を見ると心理学的、哲学的、あるいは精神病理的にこころの問題に迫っているのかと思うかもしれない。しかし著者は医者であり、神経科学から見たこころであり、身体の機能としてのこころの動きを見る。
「こころ」はいかにして生まれるのか 最新脳科学で解き明かす「情動」 (ブルーバックス)
脳がこころ、精神をつかさどっているとは現代人なら誰でも知っているであろう。しかし脳だけでなく、身体の反応も脳に影響を与え相互依存関係にある。
もちろん脳についても各部とその働きなど詳しい説明がある。脳は一体でなく各部で夫々の働きがあり、進化的に見てより初期にあたる部分が大きな役割をする。

人間を動かす思考は理性的なものだけでなく、情動と言われる感情や身体的反応も大きく影響を与える。情動の動きは表情等のほか、交感神経の興奮等によって測られる。
海馬は陳述記憶の生成に必要だが、これ以外にも情動の記憶は扁桃体による。

また我々を動かす、やみつきにさせるようなもの、報酬体はドーパミンの影響による。この興奮は期待との差で異なってくる。脳内物質やホルモンにはこころを動かす機能がある。

医学者の書いた著であるから、かなり専門用語が出てくる。それらは覚えにくいものが多い。あまり使わない字や熟語でも、まず見ないものが多いからである。
こころに対し科学的接近を行なっている書である。

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