2018年7月12日木曜日

アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語 Анна Каренина. История Вронского 2017


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シャフナザーロフ監督、138分。

これまで何度も映画化されてきた『アンナ・カレーニナ』、本作は構成上も過去の作品と差別化を図っている。すなわち原作から30年後、ヴロンスキーにアンナの息子セルゲイが、過去の話を聞く、というつくりである。劇中劇はトルストイの原作を元にしている。

日露戦争時のロシヤ軍の陣地から映画は始まる。冒頭、日本軍がした残虐な行為が映し出される。晒し物になっている馬賊の首である。
ヴロンスキーは負傷して手当を受けている。ここの軍医が成長したアンナの息子セルゲイである。セルゲイは真実を知りたいとして、ヴロンスキーに当時のいきさつを聞く。
映画は過去の物語と、その陣地での出来事が交互に映し出される。もちろん過去の物語の部分の方が長い。ヴロンスキーは陣地で歌を歌っている少女に気づき、目をかける。中国人少女とか字幕が出たが中国でなく満洲ではないか、と思った。どうでもいい話ではあるが。

さて劇中劇になっているアンナ・カレーニナの部分。決して悪い出来ではなかった。華やかな舞踏会や、ヴロンスキーが転落する競馬あたりは見どころである。
本作では、アンナの夫であるカレーニンの嫌らしさが十分出ていた。アンナが絶望し、自殺に追い込まれていく状況は、過去の映画よりもよく描けていたのではないか。

構成に戻ると、日露戦争を舞台にしたのは、20世紀前半に活躍した他の作家の小説も加味しているからという。ヴロンスキーが回想することによってヴロンスキーの観点からの話と言えよう。ただそれによって単純に原作の映画化よりどの程度違いが出たか(アンナ・カレーニナの部分に)、十分な理解はできなかった。レーヴィンとキティは全く出てこない。そういう意味ならヴロンスキー中心か。
国立FAでの上映にあたって出演した俳優の挨拶があり、今回は日本での初の上映となると知らされた。

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