2018年4月22日日曜日

「雷門大火 血染の纏」「史劇 楠公訣別」「尾上松之助葬儀実況」 大正期


国立映画アーカイブで上映された尾上松之助関連の映像。

「雷門大火 血染の纏」は大正5年、日活京都の作品。36分あり長尺なのであるが、中間字幕はたまに入るだけ、弁士の説明もない、全くの無声映画なのでただ観ているだけでは筋はほとんどわからない。松之助が他の組と屋根の上で戦うなど、場面を観ているだけでも価値がある。

「史劇 楠公訣別」は大正10年、当時の摂政(昭和天皇)の前で実演した際の記録映画。17分。戸外で演じている松之助たち、それを周りで観ている観客たち。正成父子の桜井の別れの場面である。これも全く無声で、松之助扮する正成の前で幼い子、正行が手をついている場面が長く続く。始まる前の字幕で、教育会館とかでの撮影と出たが、見ると湯島の聖堂である。観衆の後ろの外壁ですぐに分かった。もっとも関東大震災の前の撮影なので、現在の復元とは違い江戸時代のものである。

葬儀の記録映像は「日活取締役 故中村鶴三氏 尾上松之助 葬儀実況 大正十五年九月十六日」が正式な題名である。さすが大スターの葬儀だけあって盛大なもので、葬列を見送る人々の数も膨大である。白装束の裃をつけた男たちが多数歩く。棺は霊柩車の、車のない形である。霊柩車のデザインはここから来たのかと思った。フィルムアーカイブのパンフレットには阪妻や伊藤大輔らも見送りの中にいたとあるが、それを先に見ていなかったので、自分は知らなかった。

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