2018年4月15日日曜日

彼岸花 昭和33年


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小津安二郎監督の松竹映画。小津初の総天然色映画。佐分利信が主演である。

佐分利の友人である中村伸郎の娘の結婚式の場面から始まる。やはり友人である笠智衆が出席していない。
佐分利の会社へ笠智衆がやって来る。笠の娘(久我美子)が家を出て男(渡辺文雄)と暮らしている、しかもバーの女給をしていると言う。心配している笠は佐分利にバーへ行ってみてくれと頼む。

京都の浪花千栄子が上京する。娘である山本富士子を結婚させようとしている。山本はその気がないらしい。佐分利は妻の田中絹代と、娘の有馬稲子が結婚する気があるかを話していた。ある日会社の佐分利の部屋に佐田啓二がやって来る。初見の佐田は、有馬と結婚させてくれと佐分利に頼む。驚いた佐分利は佐田を帰す。帰宅後、田中に話し、有馬が帰ってくると詰問する。勝手に結婚相手を決めた有馬を許せない。認めるわけにはいかないと言う。

笠智衆に頼まれたバーへ行き、久我に会う。相手の渡辺にも会う。
佐分利の家では佐分利と有馬の冷戦状態が続いていた。山本がまた京都から上京する。浪花がしたくもない結婚を強制するという、自分は結婚したい相手がいるというのに。佐分利はそれを聞き、自分の思うとおりにすべきだと言う。すると山本は喜び、これはトリックだと言う。有馬に連絡しなくては、佐分利が結婚を認めたのだから、と。一杯食わされた佐分利は渋々、佐田と有馬の結婚を許す。二人の結婚後、友人たちとの同窓会をした後、京都の浪波の家に行く。そこで浪花と山本に説得され、今は広島にいる娘夫婦のところへ向かう。
佐分利が小津調の文章みたいな台詞を喋っている。

国立映画アーカイブ(旧フィルムセンター)での上映前に、この映画の撮影風景、約8分が上映された。白黒、無声。事前に館員の「警告」があった。画質が最低なのである。特に後半は傷だけ(だらけ、ではない)の画面が続き、時々俳優の影らしきもの、誰か判別つく時もある、が出てくる。前半は松竹大船撮影所に入る場面から始まり、俳優たちが並んでいるとか、遥かにまともである。貴重な小津の撮影風景である。そうでなければ誰も上映する気も起きないだろう画質であった。

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