2018年4月3日火曜日

竹内久美子『女は男の指を見る』新潮新書 2010


 女は男の指を見る (新潮新書)
著者は動物行動学が専門。その専門分野の知見から、動物が自らの遺伝子のコピーをいかにして残しているか、を様々な例で語っている。

本書は、薬指が人差し指に比べて長いほど才能がある、という話から始まる。
書名になっている女が男の指を見るという現象は、結構普遍的に見られる。これはなぜか。これはHox遺伝子という遺伝子がある。細胞が分裂を繰り返しながら夫々の役割に沿ったものになっていく監督機能を担っている。それによると人体の末端部分、性器や指という場所は同じHox遺伝子が担当している。すなわち指を見るとは性器を見ているのと同じことになる。

他にもハゲは胃癌にかかりにくい、左右対称の身体は魅力的に見える、浮気に対する動物行動学からみた評価、日本人の見た目の幼さ、などを論じている。
読んでいて新たな発見をするところが多い。動物と人間がどのように違うかの観点から明らかにされる特徴もある。

現代では男の発言は、差別的と批判されないかを気にしていなくてはならない。その点、著者は女なので、偏見と批判されにくいであろうから、率直に物を言っている。こういう積極的な発言は歓迎したい。

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