2018年4月16日月曜日

煙突の見える場所 昭和28年


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五所平之助監督、スタジオ・エイト・プロ、新東宝、白黒映画。
かつて千住にあった、お化け煙突と言われた、見る場所によって14本に見えた煙突を背景とした戦後の生活を描く。

千住のお化け煙突が見える川沿いにある、今から見れば貧民窟並みの家、そこに上原謙と田中絹代の夫婦が住む。2階は高峰秀子と芥川比呂志が間借りしている。恋人同士なのだが、クールな高峰は芥川に距離を置いており、まだ結婚の約束までしていない。襖で仕切られた畳の間に若い男女が住む。開かないようにつっかえをしてあるものの、今なら考えられない居住の様である。
田中は再婚である。上原はこせこせした男で、田中に気難しい態度で接する。朝鮮動乱の時代である。庶民の暮らしは貧しい。田中は競輪場でアルバイトをやって貯金している。

ある日、夫婦がいない時、赤ん坊が家に置かれていた。書置きがあり、田中のかつての夫が置いていったとわかる。空襲で死んだと思っていた田中の元夫は生きていたのだ。上原はそれでは重婚罪になるのではないかと心配し始める。
この赤ん坊はよく泣く。うるさくて高峰、芥川も寝られない。上原は我関せずの態度である。赤ん坊に一家が振り回され、見かねた芥川は、田中の前夫を捜しに出かける。ようやく見つけた前夫はダメ男の典型で、今の女房に産ませた赤ん坊をかつての妻である田中のところへ置いてきたのだ。今の女房も全く相手にしない。

その間、赤ん坊が病気になる。田中だけでなく上原、高峰も世話をし、一命をとりとめる。その朝、あの前夫の今の女房が、赤ん坊を取り戻しに来る。みんなは一度は女を追い返すものの、考え直して返すことにし、女を後からは追いかける。
高峰と芥川はようやく結婚を決意した。

昭和20年代末の庶民の生活、まだまだ戦争を引きずった、貧しい者が多い。映画ではとかくその当時の普通の生活から離れた「高級な」、あるいは生活臭の全く感じられない描き方が珍しくない。この映画はその点、きれいごとでない作り方である。

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