2018年4月26日木曜日

世紀の合唱 愛国行進曲 昭和13年


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伏水修監督、東宝東京映画。滝沢修主演。

行進曲の父と言われた瀬戸口藤吉を描いた映画。明治時代に軍艦行進曲を作曲し有名になっていた。映画は製作当時の昭和が舞台であり、滝沢は既に一線を退いた大家として描かれている。真っ当な音楽を広めるため、楽器製造に関係したり、子供たちに音楽を教える人となっていた。

藤原鎌足が欧州へ行って同盟国のドイツやイタリアではナチスの歌とかファシストの歌がある、羨ましいと言う。ヒトラーも一瞬出るし、当時の独伊の映像が映し出される。
政府から国民精神総動員の一貫として国民歌謡となるべき行進曲の募集がある。滝沢はその作曲に心血を注ぐ。南京進攻までには作曲したい。この間病気が進行し、息子の医者からは安静を命じられる。その病気を推して、曲をより良いものとするため市中へも出かける。ようやく完成した愛国行進曲、一位になり、レコードのプレスや楽譜の印刷が大々的に行われる。映画の最後は、この愛国行進曲が国民の様々な層で、場所で歌われる場面が続く。

愛国行進曲は映画制作の前年、昭和12年の曲である。著作権は無料としたため各レコード会社が製造発売した。戦時中はまさに国民歌謡となった。この曲にあやかった映画である。国立映画アーカイブの「映画にみる明治の日本」企画での上映だが、内容は昭和の映画、当時の戦意高揚映画の一種ともいえる。

主演の滝沢修は戦後と少しも変わらない姿をこの映画で見せている。
併映の「杉野兵曹長の妻」断片と同じく、苦労して成就するという話である。映画によくある、主人公たちが思いがけない苦難に振り回される展開はない。そういう意味で、平坦と言えばそう言える、安心して観ていられる作りである。

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