佐々木啓祐監督、松竹映画。佐分利信主演。
明治19年に起きた英国の船ノルマントン号遭難事件を題材にとった映画。
まず当時の鹿鳴館など、日本の西洋迎合の姿勢を批判する場面が続く。婚約者と妹は西洋かぶれで、佐分利は苦々しく思っている。遂には婚約者に向かい婚約の破棄を言うまでになる。
横浜から出航した英国船ノルマントン号は、紀州沖で嵐に会い、沈没した。その際、船長や船員など西洋人はボートで脱出するが、日本人の船客25人は全員死亡した。ところがその後の裁判で、イギリス人の船長らは無罪となる。なぜ乗客を見殺しにした船長が無罪なのか。これは当時、領事裁判権というものがあってこの裁判自体を同じイギリス人がしたから。実際の当時も日本全国で悲憤慷慨の世論が沸き立ったらしい。
刑事裁判を起こす。映画では中国人の料理番が助かり、その証言によって英国側の責任を追及しようとする。しかしその証人になる中国人が攫われる。それには佐分利に恨みを持つ婚約を破棄された女や妹が助力していた。友人が馬車を追う。英国側と撃ち合いになり、何人か倒す。それが裁判になる。佐分利は許可を貰い法廷に出て日本側の主張をする。
船長責任の裁判は有罪になるものの、刑は軽微なものであった。悔しがる日本人たち、いつかはイギリスに思い知らせると言う。映画の最後は第二次世界大戦初期の戦闘を映し、そこでイギリス国旗が兵たちに蹂躙される場面。
日本髪の桑野通子が出ており、洋装の多かった彼女の貴重な映像が見られた。
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