山内俊英監督、大都映画。欠落フィルムで23分のもの。
あの日露戦争の広瀬中佐と杉野兵曹長の、杉野の妻がその後どのように子供たちを育てたか、の物語である。出演者は知らない人たち。
子供たちの小さい時から始まる。三人の男ばかりの兄弟で、末っ子はわがままである。母親の言うことを聞かない。雨にうたれ病気になる末っ子を看病する母。
校長先生が来る。あの杉野兵曹長の未亡人とは知らなかった、ぜひ学校で教えて下さいと乞う。辞退するがなお頼みこむ。
子供たちは大きくなり、末っ子は学校に合格した。兄たちも航海から帰ってくる。母子4人久しぶりの再会の後、父杉野兵曹長の墓に参る。夫に向かい子供たちが立派に育ったことを報告する。
夫の遺言に従い、良妻賢母の鑑とされた杉野兵曹長の妻はかなり有名だったらしい。映画中でも校長先生の言葉を聞けばわかる。杉野兵曹長の妻の映画化はこれが初めてではない。
戦前の万世橋駅前の中佐との像、そして軍歌、杉野はいずこ、杉野はいずやで今でも記憶している人は多かろう。しかしその妻も有名人だったのである。
見方を変えてみると、夫の死後も夫の言いつけに従い、また世間の目も気にしなくてはならなかった人生、本人はどう思っていたか不明であるが、時代を感じさせる。
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