吉田洋一『零の発見』岩波新書 1979年改版

 

初版は戦前昭和14年に出ている。

題名にあるようなゼロの発見の、数学への寄与だけでなく、その他の数学の話題も含む。

大きくアラビア数字の由来と、連続の問題に分かれる。

アラビア数字の由来では、歴史的にどのように数字を扱ってきたのか、表記法だけでなく計算方法の工夫などが語られる。算盤はともかく、計算尺の話など時代を感じさせる。最後の改定では電子計算機の発達を受けて、二進法の説明を加えているようだ。これも最近のバソコンの普及からすると、汎用電子計算機がよく使われていた時代を思い出し懐かしい。

連続の話では、分数では表せない無理数などは、昔のギリシアではその思想の基本から相容れない概念だったと説明される。 

                        

数学の読み物として長らく読み継がれてきただけの内容はあろう。