2020年11月7日土曜日

バルザック『海辺の悲劇』 Un drame au bord de la mer 1834

バルザックの短篇小説。海辺に住む男の過去の悲劇。

語り手は恋人と共に大西洋岸の海辺に行く。漁夫に会う。その後、海岸の岩の中に住む怪異な男を発見する。あの男はどういう者かを漁夫に尋ねる。過去の悲劇が物語られる。

男は若い時、美人の妻をもらい幸福だった。二人の間に息子が生まれる。夫婦の喜びようは大抵でなく、大事に育てる。しかしあまりの愛情に、甘やかされた男に育ってしまった。わがまま放題でやりたいことを何でもやり不良になった。家から金を盗む、近所の子供を傷つけるなど際限がない。母親は息子が可愛くしょうがないので、何でも許してやりそれにつけこむ。

最後はとうとう父親が放蕩息子を処罰する。悲しみのあまり母親も亡くなった。それ以来、男はひとりで海岸に住んでいるのである。

高山鉄男訳、世界文学全集第21巻、集英社、1978

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