著名な宇宙物理学者ホーキングが科学の難問に答えるという啓蒙書である。目次は次のとおり。
なぜビッグ・クエスチョンを問うべきなのか?/神は存在するのか?/宇宙はどのように始まったのか?/宇宙には人間のほかにも知的生命が存在するのか?/未来を予言することはできるのか?/ブラックホールの内部には何があるのか?/タイムトラベルは可能なのか?/人間は地球で生きていくべきなのか?/宇宙に植民地を建設するべきなのか?/人工知能は人間より賢くなるのか?/より良い未来のために何ができるのか?
序章である「なぜビッグ・クエスチョンを問うべきなのか?」以下で、根源的な問題についてホーキングは説明しているが、特に興味を覚えたのは最初の「神は存在するのか?」の章である。このような問題について科学者が真面目に考え、答えようとする姿勢はまさに西洋ならではである。答えそのものは常識的であり驚くようなものではないが、考え抜いて答えている。専門の研究者であるため、宇宙論についてもかなり深いところまで説明している。
また最後の方になると、ホーキングは科学がもたらす未来について全く楽観的でないと分かる。科学の発達が人類を不幸にさせる危険性を述べる。その立場そのものは環境保護運動家に通じるが、専門の学者であるから耳を傾けさせるものがある。
0 件のコメント:
コメントを投稿