元は実業家ながら最近何冊か書を出している著者による哲学と宗教を解説した啓蒙本。たぶん多くの読書家が関心を持っているであろう二つの分野の概説である。著者が選択した過去から現代までの事項を説明しているため、かなりの大著になっており、難しい内容ではないが読むのに時間がかかる。著者は解説するに留まらず、自分の主張を述べたい意欲が強いようである。特に名称についてこれまで流布してきた呼び名は是正の必要を大いに感じているらしい。また偏った、誤りとされる見解についても同様に正すよう訴える。イギリスを連合王国といったり(英国でなぜいけないか書いていないが)、マホメット、メッカなどイスラム関係で多数の「不正確な」表記の正しい呼び名を書いている。
西洋の近世哲学など比較的知られている部分は、昔からおなじみの内容である。フィヒテでは『ドイツ国民に告ぐ』という政治主張の書が挙げられ、高校の参考書を思い出した。ずいぶん前に出た中公世界の名著のフィヒテの巻では、フィヒテの哲学の説明があった。
こういった類の本なのに索引がない。索引のない本など本ではないと言った学者がいた。読み捨てる本のつもりなのかと思った。(ダイヤモンド社出版)
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