2019年6月7日金曜日

アン・ルール『テッド・バンディ』(上下)権田萬治訳、原書房、1999年

稀代の殺人者、テッド・バンディ(1946~1989)の伝記である。この伝記というか、殺人犯の記録は通常の犯罪記録とやや異なる。それは著者のアン・ルール(有名な犯罪記録作家)がバンディの知り合い、あるいは親友といってもいい仲であったからである。もちろん連続殺人を犯していく前である。
そのため、できるだけ客観的に事実を記録していくというより、まるで身内の犯罪者を語っているかのような記述が散見される。例えばバンディが犯人でないかと警察から訊かれ否定するところや、刑務所でのバンディの待遇を心配するところなどである。

手にかけた全体の数は、若い女性ばかりだが、分かっているだけでも36人、もっとあるかもしれないという。驚くべきはバンディは2回も脱獄しているのである。特に2回目の脱獄後、数人を殺害している。この辺り、アメリカ人のいいかげんさが影響しているのではないか。
裁判が始まってからも知能の高いバンディは法廷闘争で自分への刑罰を逃れようとする。
最後に処刑になった時には刑務所外で、民衆が歓声を上げたという。

なぜこのような人物になったのか。下巻の最後の方で少しだけ触れている。生まれは複雑である。私生児として生まれ自分の祖父母を父母と、母を姉として育ったという。やがて母は結婚し義理の弟妹が生まれる。しかし自分の出生を知る。

犯罪者は不幸な幼少年時代を過ごした者が多いように思われる。もちろん幼少年時が不幸でも犯罪者になる者は限られている。
ともかくこのような犯罪をできるだけ防止できる(可能性を低下させる)措置が必要である。

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