主人公の津田は30歳で会社員、ただ胃が悪く手術の要がある。少し前に結婚している。津田は京都にいる両親からカネを定期的に貰っていた。しかし返す約束を守っていなかったため、両親はカネを送ってこなくなり、津田らは困る。両親と津田の中に立ってカネの送付をまとめた男は津田の妹の夫である。そのため津田の妹、お秀も迷惑な立場になる。
津田の妻、お延は夫が入院する日に前から約束してあった、義理の親との観劇が気になっている。それを察した津田はお延に行ってこいと言う。お延が行くと実は義理の妹の見合いが兼ねられていて、その相手の見定めを頼まれる役目だったとわかる。
津田の妹であるお秀は、勝気な女であり、見舞いに行った兄に対して容赦なく意見を言う。お秀は津田の妻、お延を浪費家と見なしていて好感情を抱いていない。後から病室にやってきたお延の前でも兄に意見する。
津田には小林と言う友人がいる。不快な男と描かれており、津田にカネを要求する。津田は自分もカネがないくせに、この朝鮮へ行くという友人に無理してカネを都合する。
また津田が世話になっている吉川夫人という上司の妻がいる。実は津田はお延と結婚する前、清子という相思の女がいた。しかしいきなり別の男と結婚した。今でも津田は清子が気にかかっている。その清子が湯治に行っている温泉へ、津田も行けと吉川夫人は勧める。病気療養として行く。清子に会い、会話を交わす。
漱石の死によって未完に終わった小説であるが、それでも漱石としては最も長い小説である。病室でのやりとりは日本文学史上で稀有の議論の場になっている。女の心理をよく描いている。
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