ムイシュキンは精神病を病み、スイスで療養生活を送っていた。そのムイシュキンがロシヤのペテルブルクへ帰る列車の中から小説は始まる。そこでもう一人の主要人物、ロゴージンに会う。ペテルブルク到着後は、エパンチン家に向かい、そこでアグラーヤ他の三人姉妹に会う。下宿するイヴォルギンに行き、運命の女性、ナスターシャに会う。
ナスターシャにムイシュキンは夜会で求愛するが、彼女はロゴージンと共に逃げてしまう。その後、かなり長い間がおかれる。この間、ナスターシャはロゴージンの元を逃げて行方がしれないなど事件は起こる。
小説が再開してからは、ムイシュキンが相続した財産を請求する若者たちが来る、その中の一人、肺病病みのイッポリートという青年の思想開陳と自殺失敗の茶番が起こる。
最後はロゴージンがナスターシャを殺し、ムイシュキンはまた精神がおかしくなって病院に戻される。
全体としては恋愛小説の体をなしている。ムイシュキンとロゴージンとナスターシャの三角関係、ムイシュキン、ナスターシャ、アグラーヤの三角関係が小説全体の背景として進行する。
その間、色々な人間たちが入り乱れ、各々自己主張をする。『白痴』という小説は、ドストエフスキーのどの小説でもそうといえるものの、特に個性豊かな人間を描いた作品という感が強い。あまり思想を前面に打ち出していない。それだけ登場人物の人となりに関心がいく。
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