国立FAの「映画にみる明治の日本」特集で上映された、徳富蘆花原作の明治時代の人気作の映画。
「ほとゝぎす」は池田義信監督、大正11年、松竹蒲田の無声映画、19分。栗島すみ子の主演。
浪子は座敷に座っている。女中と会話。姑に呼ばれる。武男と海岸を散歩。病院での死、あたりが残されている主な場面。
「不如帰より 浪子」は田中栄三監督、昭和7年、オリエンタル映画社、54分。主演は水谷八重子。
発声映画である。トーキー初期であるから、それを映画の初めにうたっている。
武男と浪子の結婚式。浪子に恋していた武男の同期生、千々岩も出席している。新婚旅行が長引き、姑から嫌味を言われる。幸福な結婚生活を送っていた。しかし浪子が病気になる。結核らしい。姑は武男に離縁するよう迫るが武男は承知しない。これから出征するので、自分の不在中、浪子はそのままにしておくと、姑に約束させる。
しかし浪子の父親のところへ使いが行く。父親に浪子は病気だから引き取ってほしいと。父親は、武男は承知かと確認する。浪子は実家へ行き、荷物が帰っているので離縁されたと知る。
最後の場面は、浪子の父親と武男が戦場で一緒にいるところである。
本作は国立FAのパンフレットにも断片と書いていないし、54分あるのでそうかもしれないが、浪子が死ぬ場面もないし、全部ではないのかと思った。映画の終わりには「終」の字は出る。
どうでもいいことを書けば、劇中、空中戦の場面が2度ほどあり、同じフィルムが使われている。ただこの戦争は日清戦争(原作は戦後まもない時期の発表)の筈で(国立FAのパンフレットにもそう書いてある)、当時はまだ飛行機はなかった。空中戦は第一次世界大戦からであろう。
本2作の意義はかつての大女優、栗島すみ子と水谷八重子が見られることであろう。
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